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  ■認知症について

 認知症とは、新しいことが記憶できない、判断力が落ちているということであって、認知症ではない高齢者との間に大きな差異はありません。ただ、判断力が落ちているために、自分の周辺で起こることがいったいなんだか理解できず、臆病になっています。そのため、多数の寮母の支えによって、自分が生活しているところが安心できる場所だと理解してもらうことが最も大切です。周囲の人が自分に合わせてくれて、やさしく対応してくれれば安心して静かに日々を過ごせます。よく認知症になると暴力的になるといわれますが、それは周囲の対応が悪いために不安となり、防衛心理がはたらき、暴れるのです。
 繰り返しますが、認知症の方にとって、必要なことは、暖かい介護と安心できる生活の場です。周りにいる人が自分に好意的であり、自分のいる場所が安全で安心できるところであると本人にわかれば、ほとんどの認知症の方が静かで落ち着いた普通の生活をされるのです。

 以下では、グリーン東京での介護事例を紹介いたします。これは、当ホームの看護チームが、平成5年7月に、医学書院が発行する『看護学雑誌』に発表した論文「老人ホームにおける看護と看護師の役割」の一部です。当ホームが、いかに長期の介護実績を有しているかを、ご理解していただけると存じます。


◆精神的問題への対応

 精神障害を持つ高齢者は、本人が悩み苦しむばかりでなく、家族や周囲を巻き込むことが多い。
「異常行動、問題行動を起こす人」として一面的にとらえるのではなく、当ホームでは、職員が精神科医の下で情報交換を行ない、時には数か月かかることもあるが、最終的に正しい見解、理解を全職員が共有し、精神障害者に接している。

『例』

 ここではすでに死亡した入居者(血管性認知症)の例をあげて説明する(注:プライバシーの保護のために死亡者から事例を採り上げた)。
 ホームに入居後の5年間はまったく介護を要せず、心身ともに健康に暮らしていた入居者が、ある時期からホーム内の食堂や風呂場を忘れたり、軽いせん妄(注:精神障害の一種)が現れた。その後さらに健忘著明となったが、ADL(注:健康状態のこと)が保たれていたので精神科医は、薬を使用せず様子を見るよう指示し、ホーム内の移動には寮母が付添った。しばらくして戦時中の体験そのままの言動が目立ち、医師はグラマリール25mg、1錠服用とした。その後、50mgに増やしたところ、認知症は残ったもののせん妄がとれ、精神面が落ち着き、家族などとの人間関係も認識できるまでに回復した。

 この間もっとも危険だったのは煙草の自己管理ができなくなり火災の恐れが生じたことである。家族も含め話し合いが数回持たれ、医師のアドバイスによって、なるべく本人の意に沿うように、喫煙は居室内を禁止する一方、本人に喫煙の自由を理解してもらうために、寮母室、事務室での喫煙を勧めた。喫煙時はホーム側からコーヒーサービスも加わり、会話を通じて職員との人間関係が信頼できるものとなり、水分補給、身辺介護などが細かい配慮で行なわれ、個室介護の良い面を維持したまま問題点を減少させることができた。
 時折、他の入居者に不安感を与えることもあったが、入居者間のふれあいも復活し、「良くなったね」と声をかけられるようになった。煙草の問題がきっかけとなり、人とのかかわりあいができ、本人の不安解消につながっていった。


◆精神的問題における看護師の役割

 精神的問題における看護師の役割は、職員間の情報交換を密に行ない、月1度来園する精神科医(注:現在は月に2度来園)や入居者が通院しているホーム周辺の精神科医に対し適切な情報提供を行ない、病状の変化を把握し、そして精神科医の指示を正しく寮母職などへ伝えていくことにある。
 今後も高齢者が、今を、どのように生きているのかという心への視点を大切にして(注:生きがいを高めるうえで最大限に大切なことです)、うまく自分自身を訴えることのできない高齢者の状態把握に努め、ホーム内で生きがいを持って普通の生活を続けられるようなアプローチをしていきたい。

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※法律が改正されて、痴ほうという言葉は認知症に替わりました。つきましては当ホームページでは、
認知症と表記いたします。



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