認知症の介護

 私が朝の挨拶をさせていただくと、入居者様からすばらしい笑顔で、「いつもありがとう」と言っていただきます。でも私が見えなくなると、「いったい、あの人は誰」とスタッフに聞いている方が毎日1人くらいはいらっしゃいます。
 
認知症のケア
 グリーン東京では、認知症のケアで一番大切なのは、その時のその人の気持ちと考えます。そして同じ事を継続することと考えております。
 
 
〜ホームでのある日の認知症の方の気持ち〜
 
 窓から見覚えの無い景色が見えるが、自分の持ち物があるのでここが私の家ね。
 
 箪笥の上の写真に写っているのは両親と私の兄弟かな? 母は歳をとったな…。その横にいる小さな子供達はだれだろう…? 夫が仕事から帰ってきたら聞いてみよう。
 
 …あれ夫の写真がある? そうだ夫は亡くなったのだ。いつのことだったろうか。いやだ、忘れてしまった。お父さんごめんなさい。私もいつか母親のようにおばあさんになるのかな…。
 
あれ子供はどこかな、学校へ行ったのかな… 心配だ。
 
 今日の夕食は何にしようか。買い物へいかなきゃ、財布はどこかな…? 昨日テーブルの上に置いておいたのに無いな。どうしよう…。
 
 気分が悪いな、わたしはどうしたのだろう。なにも分からなくなった。気持ちが悪い。子供はどこだろう、さっきまでそこに居たのに。ああ気分が悪い。悲しい。横になりたい…。
 
 名前は知らないが、いつも来る人が部屋に入ってきた。なにをしに来たのかな。でも笑顔で優しそうだし楽しそうだ。
 「どうしました。何かすることはないですか」と聞いてくれる。この人はいいな。相談できるし、助かった。ああ良かった。気分が落ち着く。

 
 グリーン東京では認知症のケアにも力を入れています。認知症の症状は千差万別であり、一律同じ対応はできません。ただし、基本はその方のお気持ちを楽にすることを第一に考えております。また認知症の方でも新たなことをまったく覚えられないわけではないことを念頭におきます。同じ事を繰り返すことで、新たなことも覚える力はおありになると考えております。
 
 「それはだめ、こういう理由で危険だから止めて、もしこうなったら大変、それは違う、間違っている、そんなことは絶対ないから」と理屈で否定する言葉をいくら伝えても、ご本人を不安にさせるだけです。
 
 グリーン東京では、笑顔でやさしく、「分かりました。そうしましょう。では確認して、後でお知らせしますから安心してください」「そう言えば、今日は○○がありますよ、楽しいですよ。声をかけますから一緒に楽しみましょう」とお答えします。真摯にその方の問題を受けとめること、そしてその時の気持ちが和らぐような言葉を、穏やかな表情で伝えることを心がけます。
 
 また亡くなったご家族の遺影もあえて置かせていただくことも、医師を交えた会議で検討します。毎日その不安や心配を持ち続けるより、事実を覚えていただくことが不安や心配を解消する方法になるのではないかと考えるからです。
 
 文頭の朝の挨拶で、「いったい、あの人は誰」の後に、「いつも挨拶してくれる人だね」と言っていただけることを大切にしてまいります。
 
施設長